私たちが文字を書くようになってから、人間はずっと音楽を書いてきました。
記譜法(楽譜の書き方のルール)が登場する以前は、
音楽は人から人へ演奏を通じて直接伝えられていました。
楽譜の歴史は古く、最古のものは、紀元前2000年の粘土板から発見されています。
最初は線がなく、古代ギリシャの楽譜のように記号で表していました。
現在、私たちが使用している現代の「五線記譜法」は、古代ローマ時代の記譜法で、
カトリックの修道士が教会の音楽を標準化するために作成したものです。
楽譜に記すことで記憶違いをすることなく、みんなが共通して正しく音楽を奏でることができるようになりました。
9世紀頃 | 音の上がり下がりを線で表したネウマという記譜法ができる |
11世紀頃 | より正確に音の高さがわかるように横線を書くようになる |
その後、音部記号も書かれるようになり、音の高さなどを■で表すようになります。
この記譜法により、音の高さを示すことができるようになりました。
さらに時代が進むと、音の長さがわかる定量記譜法というものができました。
13世紀 後半 | 音部記号で音の高さがわかるようになる。 定量記譜法で音の長さがわかる。さらにリズムまでわかるようになる。 |
多くの記譜法が試され、改良が繰り返されて、現在の5線や音符に落ち着いていきます。
このように、現在の楽譜が最初からあったわけではなく、ここにたどり着くまでには、様々な試行錯誤があったのです。
楽譜がなかった頃は、すべて記憶するのが当たり前だったようですが、覚えるのにも限界があります。
楽譜にしておくことで、たくさんの曲を演奏してもらえるようになりました。
このことは聖歌がたくさん作られていくきっかけになったのでしょう。
キリスト教が積極的に典礼に音楽を用いて活動していたおかげで、音楽は現在の楽譜になり、
みんなが音楽を楽しめるようになったのです。